「日本食」の枠を超え
すっかり市民生活に馴染んだ「牛丼」

 牛丼チェーン大手「吉野家」が、上海の南京東路に1号店を出店したのは2002年のことだ。

 一般的に中国で「牛丼」は、ガイジャオファン(ぶっかけご飯)の一種と捉えられ、付加価値が付けにくい商品である。

 加えて、「牛丼」の味付けが中華料理に近いことも、価値を価格に反映するハードルを上げている。

「吉野家」が設定した当時の「牛丼(並)」の価格は12元(約200円)。

 外資のファストフード価格と捉えれば、十分リーズナブルなのだが、当時の物価水準といえば、弁当は7元(約110円)、ラーメンが5元(約80円)で食べられた時代である。

 12元の「牛丼」は衛生的であることは評価されるも、多くの人に“割高な商品”と映ったと言わざるを得なかった。

 進出当初、市場開拓に苦労した感のある「牛丼」だが、あれから15年が経過した。

 上海の激しい物価上昇にもかかわらず、「牛丼」の価格は「すき家」が牛丼(並)/14元(約220円)、「吉野家」が牛丼(並)/17元(約270円)と、物価上昇率を考慮するとむしろ割安感を増しており、店舗数は既に上海市内だけで合わせて100店舗に迫るまでになった。

 大衆を対象にしたその価格設定と、中華に近い馴染みやすい味付けにより、「牛丼」は今や日本食という枠を超え、すっかり上海市民の生活に溶け込んできた感がある。