コンテンツ会社の取締役会はコンテンツ会議と化していく

朝倉祐介(シニフィアン共同代表):特に創業経営者の場合、自身がプロダクトや事業を作ってきたわけだから、視点がどうしてもオペレーションに寄りがちなんでしょうね。

 日本で「経営」が専門職として定義され、捉えられることってあんまりないやないですか。日本の会社の役員人事を見ていると、現場や執行レベルで事業をうまくやった人が、その“報酬”として役員になっているように見受けられるケースがままある。社内の役員メンバーが役員選任の主導権を握っていることもあって、役員人事が論功行賞の場になっている。だからコンテンツ会社の役員陣を見ていたら、取締役会がまるでコンテンツ会議になっていることもあるし、営業会社の役員会は営業会議になってしまう。それをヘンだって思わないんですよね。取締役の役割が、執行役員からの延長線上で捉えられている。

村上:創業者であり社長でもあって、自分が一生懸命に会社の経営のことを考えている人だったら、海外の投資家と話すことって、本当はめちゃめちゃ楽しいんちゃうかなと思う。この対話や議論の楽しみを知っている社長が結構少ないのかもしれません。

*次回【ポストIPOについて Vol.5】「優れた投資家はユニークさを問い、残念な投資家は業績予想を問う」に続きます。
*本記事は、株式公開後も精力的に発展を目指す“ポストIPO・スタートアップ”を応援するシニフィアンのオウンドメディア「Signifiant Style」で2017年9月17日に掲載された内容です。

もったいない! 日本企業が敬遠しがちな海外IRツアーの大きなメリット【ポストIPOについて Vol.4】朝倉祐介  シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。ラクスル株式会社社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。


もったいない! 日本企業が敬遠しがちな海外IRツアーの大きなメリット【ポストIPOについて Vol.4】村上 誠典  シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県姫路市出身。東京大学にて小型衛星開発、衛星の自律制御・軌道工学に関わる。同大学院に進学後、宇宙科学研究所(現JAXA)にて「はやぶさ」「イカロス」等の基礎研究を担当。ゴールドマン・サックスに入社後、同東京・ロンドンの投資銀行部門にて14年間に渡り日欧米・新興国等の多様なステージ・文化の企業に関わる。IT・通信・インターネット・メディアや民生・総合電機を中心に幅広い業界の投資案件、M&A、資金調達業務に従事。


もったいない! 日本企業が敬遠しがちな海外IRツアーの大きなメリット【ポストIPOについて Vol.4】小林 賢治  シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県加古川市出身。東京大学大学院人文社会系研究科美学藝術学にて「西洋音楽における演奏」を研究。在学中にオーケストラを創設し、自らもフルート奏者として活動。卒業後、株式会社コーポレイトディレクションに入社し経営コンサルティングに従事。その後、株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、取締役・執行役員としてソーシャルゲーム事業、海外展開、人事、経営企画・IRなど、事業部門からコーポレートまで幅広い領域を統括する。