英語で笑いをとれないと怒られました
だが、洗礼はこれだけではなかった。住友商事時代、25歳でニューヨーク支店に駐在。ここで新たなショックを受ける。
「英語はまったく通用しませんでした。ビジネス英語がわからない。大学の留学で得た英語力なんて、その程度なんです。しかも本場のビジネスでは、エンターテインメントが求められる。ウィットであったり、ジョークだったり。とりわけ上司が大阪出身だったので、仕事でミスするよりも、笑わせられないほうが怒られまして(笑)」
10分でいい。そのかわり毎日続けるのがコツ
自分の英語力は、英語を無理矢理に使わないと生き残れないサバイバルイングリッシュだった、と須原氏。逆にそういう状況になれば、何とかなってしまうものだという。事実、後のGABA時代、生徒で上達が早かったのは、「上司が外国人になった」「海外駐在が決まった」など、使わなければいけない状況がすぐそこにあった人だったという。
そして英語が上達するポイントについて、須原氏は明快にこう語る。
「聞く力を伸ばすために、英語をたくさん聞いて、耳を慣らすべきだとよく言われます。しかし、これはウソです。どんなに耳を慣らしたところで、単語を知らなければ意味がないんです。僕が勉強したことのないロシア語を何百時間聞いたところで理解はできないのと同じです。言語コミュニケーションの基本は語彙力にあるんです。語彙力を強化することこそ、英語には必要。語彙力があれば、あとは単語を並べていけばいい。高度な文法なんて、使うことはほどんどないんですから」
そしてもうひとつ、重要なポイントがあるという。勉強の習慣だ。
「毎日続けることです。毎日やる。土曜も日曜も休みなしにやる。そのかわり、10分でも15分でもいい。そうでないと、人間は絶対に忘れてしまうんです。感覚も鈍る。お勧めは、語彙力を増やすエクササイズを毎日やることです。高校時代に使った受験単語の参考書でもいい。ただし、聞き流しがダメなように、読み流しをしてもダメ。だから、英字新聞を読み流して、わからない単語をそのままにするより、単語帳や単語集のようなもののほうがいい」