第7回目はグローバル人材について外資系トップの言葉をご紹介する。グローバル人材が必要とする意識や、グローバルで働くことの面白さについて、日本ヒューレット・パッカードの小出伸一氏に語って頂いた。
グローバル化の進展に伴って、企業が求める人材も大きく変化してきている。ここ数年、外資系企業のみならず、日本企業でも英語力を求める企業が増えてきた。海外留学生はもちろん、日本に留学中の外国人を新卒で採用するケースも増加している。こうした採用の変化の中で、ひとつのキーワードになってきている言葉がある。グローバル人材だ。
だが、この言葉はあまりに曖昧模糊としている。いったいグローバル人材とはどのような人材なのか。『外資系トップの英語力』では、それを示唆するメッセージやエピソードも多々あった。そんな外資系トップの話をご紹介したい。
まずは、日本ヒューレット・パッカード(HP)の小出伸一氏だ。売上高10兆円超の世界で最も有名なIT企業の1社、HPの日本法人トップとして5300人の組織を率いている。1981年に大学を卒業、日本IBM、日本テレコムを経て、49歳で日本HPの社長に就任、4年が過ぎた。今年竣工したばかりの東京・大島の真新しい新本社で取材は行われた。どんな質問にも、キレ味鋭い答えが返ってきたのが印象的だった。
グローバルコミュニケーションについて、小出氏にとって大きな転機になったのは、日本IBM勤務時代、40歳でアメリカのIBMに出向、ニューヨークに暮らしたことだと語る。
「まず気がついたのは、三人称単数のsとか、過去完了や仮定法を気にして英語を使っている人はいないな、ということでしたね。実際、買い物に行けば、僕よりもつたない英語で仕事をしていたりする人もたくさんいる。仕事で問われるのは、英語の力などではない、ということです。一方で、自分が勉強してきたのは、あくまでアメリカの英語だということにも気がつきました。アメリカに来れば、本当にいろんなニュアンスを持っている英語がある。グローバルな中で、いろいろな英語を聞き取って、それに対応していけるような能力がないとダメだな、と感じました」