隣人がいったいどんな人なのか――。都会のアパートではそんな近所付き合いもほとんどないから、知る由もない。

 やがて、後藤さんが帰宅すると、昼夜を問わず、ドスン、ドスンと何かで突きあげるような音が聞こえるようになったという。ただ、彼自身には、怒りを買うような心当たりなど、何もなかった。

 後藤さんが深夜、足音を立てないように、こっそり帰ってきても、しばらく経つと、下の部屋の電気が点いて、物音がし始めるという。

 そこで、ある日、実家の父親にお願いして、一緒に部屋で寝泊まりしてもらった。父親がアパートの部屋に来ると、なぜか何も起こらなかった。

 確かに、まったく音がしない静寂の流れる日もある。ところが、父親がいびきをかいて寝始めると、やはりドスンという音がして、父親は目を覚ました。

 後藤さんが父親に「聞こえた?」と聞くと、父親も「確かに、聞こえた」と答えた。

仕方なく実家へ戻るも居場所がなく
ネットカフェ、ホテル、親の車と転々

 実は、後藤さんは以前住んでいたアパートでも、似たような経験をした。部屋は1階だったが、上の階からドスンドスンという音が響いてきて、眠れなかったのだ。

 仕方なく、いまのアパートの2階に引っ越して来たのに、まだ同じような目に遭っているのだという。

 ちなみに、下の階の女性は、後藤さんが引っ越してきたときには、すでに入居していた。

「幻聴なのではないか」と親に疑われ、物音を録音したところ、かすかではあるが、その音は録音されていた。また、医療機関で身体を診てもらったものの、どこにも異常は見つからなかったという。