環境の変化を受けて、わが国でも所有に固執する傾向が徐々に変化しているように感じる。特定のモノに対する所有権を手に入れ、排他的な諸要件にこだわる必要性が薄れたのだろう。それよりも、広い利用権を重視する人が徐々に増えているようだ。

シェアする合理性に
目覚めてきた日本人

 それがモノを他の人とシェアする価値観につながった。当たり前だが、自動車にせよ、住居にせよ、所有するためにはその「モノ」を購入しなければならない。それなりの支出が伴う。

 だが、モノを買って所有することが、常に、満足度を高めるベストな選択肢とは言えない。「欲しい」と思ったモノを買っても、使用する頻度が高くないことは多い。

 例えば、新しい家電を買いはしたものの、思ったほど満足がいかないこともある。

 そうなれば処分にも費用がかかる。「タダでいいから誰かもらってくれないか」と思うこともあるだろう。もらい手が見つからないと、部屋の隅で箱に入ったまま、ほこりをかぶることになる。所有にこだわりすぎた結果、満足度を高められないケースは、生活のさまざまな部分で思い当たる。

 逆に言えば、所有しなければ、こうした失敗はしなくて済む。所有することに比べ、必要な時に費用(利用料金)を支払い、モノやサービスを利用する仕組みができれば、当初の目的を果たすだけでなく、所有に伴う経済的な負担も軽減できる。

 多種・多様なモノが存在する今日の社会では、所有するよりもシェアする方が合理的なケースは増えている。わが国でも、多くの人がそうした考えに目覚め始めた。それがシェアリングエコノミーの浸透を支えている。

 実際、街中を見ても、自転車のシェアリングを使って通勤する人は徐々に増えている。使い終わったら定められた場所に自転車を返し、収納の場所や費用を気に掛ける必要もない。民泊、ライドシェアなどに親しんだ海外からの訪日客が増えてきたことも、わが国におけるシェアリングエコノミーへの関心を高めている。