数字では見えない定性情報の重要性が増す中、にわかに注目を集めているのが、国内最大級の口コミサイトを運営し、470万件に上る社員の口コミと評価スコアを持つヴォーカーズだ。

 同社が蓄積してきた膨大な量の口コミデータは、これまで転職・就職市場で活用されてきた。組織体制や経営の問題点、ワーク・ライフ・バランスなどについての現役社員の生々しい本音は、新たな職場を検討する際の判断材料としてすっかり定着したといえる。

 実のところ、こうした口コミデータは企業分析をする上でも“宝の山”。そこに目を付けたのが海外の大手金融機関だ。日本の株式市場を分析するためのビッグデータとして、ヴォーカーズの口コミを活用しているという。他にも、ヘッジファンドや大手保険会社も株式投資などのために関心を示しているという。

 ビッグデータやAI(人工知能)を駆使して運用することが当たり前の時代に突入した今、一部の金融関係者の間では、口コミという定性情報が投資判断の差別化につながるとの期待感が高まっているのだ。

ヴォーカーズが口コミを定量化
企業風土の独自スコア開発に成功

 ヴォーカーズはこのほど、企業の信用分析を手掛けるクレジット・プライシング・コーポレーション(CPC)の協力を得て、最新の「ディープラーニング(深層学習)」と主観的確率を扱う「ベイズ統計」で口コミデータを解析。企業の組織文化を時系列で定量化した「VCPC組織スコア」という、これまでにない新たな指標の開発に成功した。

 このスコアが高いほど「良い」組織風土の企業であり、低いほど「悪い」企業となる。これから資産運用会社やヘッジファンドなどへの営業を本格化させていく方針だという。

 VCPC組織スコアについて、CPCの西家宏典氏は「口コミデータに対し、ディープラーニングで文章ごとにポジティブかネガティブかを判定しました。その上で、それぞれにポジティブ確率を付与して、投稿の裏に潜む構造を解析しました。その結果を企業ごとに集計したものが、VCPC組織スコアになります」と解説する。

 ネックとなったのは、口コミ評価の投稿者が多くなるほど企業の個性が見えづらくなってしまう点だった。「それを防ぐためにスコア開発では、ベイズ統計や時系列解析も取り入れました」と西家氏は振り返る。