もともと、消費増税の使途を変更する話も、選挙前から今井氏が、教育無償化を政権の次の目玉政策として考え、一部の財務官僚と話を進めていたものだという。

「首相表明の前に、内々に首相から(麻生太郎)大臣に話があって、そこから動き出したことにはなっているが、実はもっと前からの話だった」(財務省幹部)

 当初、「教育無償化」は、改憲を目指す首相が、維新や公明党を「改憲勢力」として取り込むという政治的な思惑が先行していた。だが、財源のめどがあったわけではなかった。一方で、財務省内では、消費増税が二度先送りされて、財政再建が遠のくばかりの状況に焦りが広がっていた。

「消費増税の使途変更で、財政再建にあてる分が少なくなることには省内でも異論があった。だが、増税を先送りしてきた総理が増税にコミットするのだから、受け入れるほうが得策と考えた」(同)

 つまり、今井氏が、首相の思いや「安倍色」を出すための目玉政策を考える中で、財務省を取り込んでの舞台回しが水面下で続けられていたというのが真相だ。

“賃上げ実現”狙った
税制改正を経産省に「指示」

 今井氏の存在は、来年度の税制改正が大詰めを迎えている「自民党税制調査会」の議論でも影を落とす。

 来春闘での「3%賃上げ」を実現させるとして、賃上げに熱心な企業には減税し、一方で賃上げしない企業には「ぺナルティ」として研究開発費控除などの租税特別措置を見直す。

 こうした異例の税制改正(「所得拡大促進税制の拡充」)が検討されているのも、官邸からの「指示」が発端だった。

「何かいい“弾”を出せないか」「ここはもっとブラッシュアップして、強力なものに」

 各省庁が来年度の政策や予算要求内容を議論し始める6月ごろから、今井氏と経産省との間で、こんなやりとりが続いたという。