水の上を歩いている様子。浮力があるわけではないので、ペースが落ちると簡単に沈む。この機構により、沈んでからも手足を動かせばふたたび浮上することができる

 もちろん水上移動ならボートなり浮き輪なり、ほかにいくらでも効率的な方法はある。これは一種の遊び、スポーツだ。

 展示されていた「水上漂」の実物を見ると、各部はひもで縛ってあるローテクノロジーに見えるが、全体は加工の難しいフルカーボンで重量は左右合計で5kgと軽く、長い時間と労力をかけた、作り手の本気が感じられる。

 本気も本気、発明家の宝華氏はこれを「新しいスポーツ」と考えて普及活動をはじめ、スタートアップ起業しているのだ。

 もともと水滸伝や三国志の豪傑物語のような武侠小説に、水の上を歩く器具が登場したのにインスパイアされ、実際に作ってみようとしたのがきっかけだという。

 彼が起業家として成功するかどうかはともかく、オリジナリティあふれるアイデアだと思う。先に商売の種を探すようなアプローチからは、こういう発明は出てきづらい。

「自分が作りたいから作った」という
これまでの深センにはなかった動機

 今回のメイカーフェア深センには、ほかにも「作りたいから作った」出展物が多く見られた。

中国が突然“クリエイティブ”に!「メイカーフェア深セン」で見た異変テオ・ヤンセン型木製ロボットに乗る筆者

 筆者が大喜びで乗っているのはオランダの発明家、テオ・ヤンセン氏の風で動く巨大ロボ「ストランド・ビースト」に影響を受けて作られたものだ。木製、電気仕掛けとオリジナルとはシステムも目的も異なる(オリジナルのストランド・ビーストは風で動き、ヤンセン氏は「自然エネルギーだけで動く新しい生物を作りたい」と言っている)が、特徴的な足の仕組みはそのままだ。

 制作したロボット作家の陳小平氏はほかにもさまざまな機構をロボットにした作品を作っている。

 下の写真はスタジオジブリの映画「風の谷のナウシカ」に出てくる王蟲(オーム)の足の機構をロボットにしたものだ。

中国が突然“クリエイティブ”に!「メイカーフェア深セン」で見た異変王蟲のロボット、正面からと横から。足で地面を掻いて進む機構が再現されている

 筆者がスマホで王蟲の画像を見せると、「これこれ!」と反応してくれた。