総予測2026Photo:JIJI

トランプ関税に振り回されながらも2025年の日本経済は堅調さを保った。26年の景気、物価、日本銀行の金融政策はどうなるのか。特集『総予測2026』の本稿では、26年の日本経済の見通しや高市政権の経済への影響、人口減少下での成長戦略など、専門家10人の予測を全公開する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

日銀到達金利予想の平均は1.45%
サナエノミクスには一定の評価

 2026年の日本経済はどんな展開をみせるのか。ダイヤモンド編集部は、10人の専門家に26年の日本経済に関するアンケートを実施した。

 26年の経済成長率やインフレといった10人の予測の概要については、本特集『2026年「日本の景気」を専門家10人が徹底検証!成長率は前年割れの「0%台後半」、政府の物価対策でインフレ鈍化!?』で紹介した。

 このアンケートでは、成長率のほかにも、金利や日本経済のプラス要因・マイナス要因などについても聞いている。

 日本銀行は25年12月に政策金利を0.5%から0.75%に引き上げた。日銀の金融正常化で、最終的にどこまで金利は上がるのか。10人の回答は、1.0%が1人、1.25%が4人、1.5%が3人、1.75%が1人、2.25%が1人となり、平均は1.45%だった。

 金利の到達地点を低めに予測した専門家は、物価上昇率が2%を下回るなどインフレ鈍化が進むとみる。一方、高めの予想をした回答者の多くは、逆に物価上昇率が2%前後で定着する、2%を超える状態が続くとみている。

 利上げのペースについては、半年に一度のペースで経済、物価の状況を見ながらという予測が大勢で、円安が進行した場合は、利上げペースが速まると予想されている。

 高市政権の経済政策、いわゆるサナエノミクスについては、所得税の課税最低限の引き上げなど家計支援による短期の景気押し上げ効果や、成長投資強化による中長期での生産性向上など評価する声が上がった。

 一方で、やはり財政拡張による財政への信認の低下やインフレ加速、円安進行などを懸念する声は少なくなかった。

 日本の人口は08年をピークに減少に転じ、11年から連続して減少している。人口減少下でいかに成長力、競争力を維持していくかは日本経済にとって重要なポイントだ。この点についても打開策を聞いた。

 女性、高齢者、外国人の就労を増やすことで労働供給量の減少を緩和する。AIも含めたDX投資、省力化投資で生産性向上を図る。リスキリングで人材の質を高める――。常識的な回答が主流だが、こうした当たり前のことを積み重ねるしかないということだろう。次ページで、専門家10人による26年の経済予測のアンケート全文を一挙公開する。