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デジタル時代を勝ち抜くための ビジネスリスクマネジメント

リスクの考え方
現場と経営とのギャップを越える

上原 聖
【第2回】 2017年12月28日
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認識のギャップが存在する理由

 では、なぜこのような認識の大きなギャップが生じてしまうのであろうか。弊社がこれまで多くのグローバル企業を支援してきた経験からまとめると、次の6つの要因に分類することができる。

1.タイムラグのあるレポート
リスクマネジメント活動の開始から完了までに要した時間の分、経営陣に報告される内容にタイムラグが発生してしまう。その結果、例えば数か月前の活動内容が報告されることになり、不正確な洞察や誤った情報が含まれてしまう。

2.手動プロセス
リスクマネジメント活動に用いる手段がスプレッドシートやメール中心であることで、管理者と現場の両者に大きな負荷が発生してしまう。その結果、高コスト化と非効率化が生じてしまい、洞察・分析に要する余裕・余力が残らない。

3.オーナーシップの欠如
リスクオーナーを縦割りで責任分担することで、新たなリスクに対する責任の所在が不明確となる。その結果、リスクマネジメント活動に抜け漏れが生じ、リスクが顕在化するまで経営者は認識することができない。また、統制活動間のグレーゾーン(不正の温床)が発生してしまう。

4.情報のサイロ化
情報共有基盤がないことで、各々のリスク管理活動が分断化されてしまう。その結果、各活動の成果物や情報が分断化されるとともに、重複したデータが溢れてしまい、情報がサイロ化(連動性の欠如、互いの活動が見えなくなるなど)してしまう。

5.一貫性のない統制
本社主導型の統制活動により、リスクの低い拠点にも本社同様の統制活動が適用されることで過大な統制活動になってしまう。一方で、現地の適用法令やリスクを鑑みない統制活動により、リスクの抜け漏れが発生してしまう。

6.進まないリスクの可視化
リスクマネジメント活動の部門間連携の仕組みがないことで、全社的な視点に立ったリスクの可視化が進まない。その結果、個別最適活動としては適切であるものの、全体最適の観点での判断ミスやビジネス機会の逸失が発生してしまう。

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デジタル時代の目に見えないリスクをどう捕捉するのか。経営の実務に資する「リスクマネジメント」について、調査結果や事例を交えながら解説する。

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