他者の評価にこだわると
自己実現からは遠のくばかり

「奥田民生さんのように生きていける人は、根本に自分への揺るぎない自信があるはずです。脱力系の人はスタイルや表現を自由に扱い、変化させ、時にはこだわりを棄てるなど、『他人からのわかりやすさ』にとらわれません」

「一方、多くの人は『自分のそれまで』を変える前段階で不安になってしまうし、本質的な自信がない人ほど客観的評価に頼るようになる。SNSへの投稿なんてその典型ですよね。お洒落をよくわかっていない人は、『コレがお洒落だ!』という雑誌通りの服を着ていれば安心だし、自分に自信がない人は、とりあえず“インスタ映え”する写真を投稿しておけば、一定の評価が得られる。そこに自分の意思やこだわりはそんなにないのだろうと思います」

 若新氏の解釈によれば、心理学者マズローの提唱する自己実現は本来、「ありのままの状態」を体現して生きることだという。そしてそれは、社会的な評価に満足できた人がたどり着ける高い次元の欲求だそうだ。そう考えれば、“なんでもいいような在り方”を体現している奥田民生は、極めて「ありのまま」の自己実現ができている状態であり、いいかげんなように見えて、すごくその人らしくもある。それが私たちには魅力的に映るのかもしれない。

 一方で、最近話題の“インスタ映え”は、求めれば求めるほどに「ありのまま」の自分からかけ離れ、自己実現から遠のいてしまうようだ。

「キラキラした生活を演出するインスタ映えや、いいね!の数にこだわる表現は、本来の自分を受け入れていない行動です。その方法で承認欲求を満たそうとすればするほど、結局、いつまでたっても自分を好きになれないんですよ」