若手社員の伸び悩みに
課長は頭を抱える

 ところがA課長はここ2年、若手部下の指導について悩んでいた。なぜなら、課内の成約件数のほとんどはA課長を含めたベテラン社員の実績で、若手社員の伸び悩みが続いていたからだ。会議等で彼らにハッパをかけても効果がないので、何とかコミュニケーションを図ろうと画策するのだが、上手くいかない。

 例えば忘年会、新年会、送別会といったイベントを計画しても、

「その日はちょっと用事があるので……」

と参加を断られる。ましてや個人的に

「ちょっと帰りに一杯やらないか?」

と誘っても、「え?勘弁してくださいよ」と迷惑そうな雰囲気で逃げられてしまうのだ。

 そんな中、中途採用された新人Bが研修終了後、乙支店営業課に配属された。Bは元々営業志望だけあって、やる気満々。また酒席の付き合いが良く「まるで昔の自分を見ているみたいだ」と思ったA課長はBの指導に熱を入れ、かわいがった。

「よっしゃー、B!今日も飲みにいくぞーっ!!」
「はい!!A課長とならどこまでもついていきますっ!」

 2人は肩を組んで夜ごと飲み歩き、そのたびにA課長はBに対して自分の経験談や仕事に対するアドバイスを行った。とにかく酒が入ると口も軽く、Bも熱心にその話を聞いていた。

総務課からの問い合わせで発覚!
B君の残業は80時間?

 そんなある日、A課長はC支店長に呼び出された。

「新入社員のB君だけど、給料計算の件で総務課から照会があったよ。『残業時間がとても多いがどうしてですか?』って。彼、残業するほど仕事してたっけ?」