また、資金運用担当者が、金融機関の接待漬けになってすっかり取り込まれているようなケースもある。大学関係者はこうした点にも大いに注意されたい。

 適切な運用方針を作り、運用の実行状況をモニタリングし、運用結果を評価して、対外的に納得的な説明ができるような、運用委員会組織を是非作るべきだ。

 こうした委員会には、教員を含む大学関係者が複数入っていていいと思うが、大学の直接の関係者ではなく、取引先の金融機関と利害関係がなく、かつ資産運用をよく理解している専門家を複数加えるべきだ。

 気の毒なので、大学名も教員名も挙げないが、運用の大損がニュースになった私立大学には、全て経済系の学部(経済学部、経営学部、商学部など)があったし、金融を専門にしている先生もいたはずだが、仕組み債などの愚かな運用で損を出した。

 あれらの学校で金融を教えていた先生たちはどうしていたのかと思うところだが、大学に所属していると、学長やオーナー一族に向かって、「それは、金融論的に愚かな運用です」とは直言しにくいにちがいない。「学長にもダメ出しできる運用専門家」を、三顧の礼を以て迎え入れるべきだと申し上げておく。

 リスク資産による運用は、言うまでもなく「確実に儲かる」というものではない。運用で負担できるリスク、有り体に言って、損失できる金額を大学の関係者は十分確認して具体的に合意しておく必要がある。仮に、この点の明確な合意なしにリスク資産運用で損失が出た場合、大学の評議委員のような方々は、関係者に責任を取らせることを強く求めていいだろう。

 付け加えておくが、委員会による運用の監視も、リスクを制約するルールも、運用担当者にプレッシャーを掛けるために必要なのではない。これらの体制や決め事は、運用で起こり得るどのような事態があっても、説明責任が取れるような準備をあらかじめ確保して、運用担当者が安心して仕事ができるようにするためだ。

時価会計を嫌うのは慎むべき悪弊

 大学に限らず、組織の資金を運用する場合にしばしば感じるのは、時価評価を嫌う人が多いことだ。「運用は長期で行うものなので、短期的な成否に一喜一憂したくない」という気持ちは分からないでもないのだが、これは厳に慎むべき悪弊だ。

 端的に言って、時価評価と長期運用が両立しないと思っている人は、運用を正しく理解していない。また、信頼できる時価評価ができない運用対象は、そのもの自体がしばしば怪しいし、説明責任上も不適切だ。先のエール大学のスウェンセン氏のポートフォリオを見てほしい。時価評価から逃げていないことが分かるだろう。