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経営者はマネジメントしてはいけない【孫泰蔵】必要なのは、管理するマネジャー役ではなく、その相談相手になってくれる「メンター」の存在です

 前回までに事業計画は立てない、スケジュールも立てない、それが次代の経営だと申し上げました。そうはいっても「経営者はどう会社をマネジメントするのか」と思われることでしょう。結論からいえば、マネジメントしないことです。

 そもそも旧来型のマネジメントとは、最も生産性が上がるように経営資源を最適な所に配置することでした。ヒト、モノ、カネ、そして情報を管理するのがマネジャーの仕事だったのです。

 ですがその問題は、前回申し上げたように、計画を立てることによって自らの上限を決めてしまうことにあります。また、社員が言われた通りにしかやらなくなり、その人の持つ意欲を引き出し、能力を発揮させることが難しくなるのです。

 そのため、本人がやりたいというならやらせる。指示もしない。本人がやりたくなさそうであれば、「やめたらどう」と止めてあげることです。そこで必要なのは、管理するマネジャー役ではなく、その相談相手になってくれる「メンター」の存在です。

 仮にやりたいことをやれる権限を与えても、現場ではそう簡単に事が運びません。現場では多くの壁が立ちはだかり、「自分で決めていい」と言われても、悩むことがたくさんあるからです。