ITRでは、国内IT市場における技術トレンドや需要動向を踏まえ、短中期的に企業が注目すべきIT戦略テーマと将来予測を「ITR注目トレンド」として公表している。2018年においては、「ビジネスの開発と遂行」「人材と組織の変革」「テクノロジーの高度活用」の分野で総12個の戦略テーマが提起された。ダイナミックに変化するビジネス環境とテクノロジーの趨勢を読み解いて、自社のIT戦略方針や投資計画を打ち立てる際の一助として活用されたい。

ビジネス変革を促すテクノロジー

 2017年は、国内経済の緩やかな景気回復とともに、IoT、AIに代表されるデジタル技術への注目と高まりにより、数多くのビジネスイノベーションの萌芽と具現化が見られる年となった。2018年へ向けたITへの投資意欲は、過去10年において最も高い水準となり、変革に対する積極的な姿勢がうかがえる企業も増加傾向にある。こうしたなか、デジタライゼーションやサービタイゼーションといったビジネスの変革を誘発するグローバルな動きは、国内のあらゆる産業に影響を及ぼし、ITはかつてないほどに広範なビジネス領域に適用されている。企業は、テクノロジーとビジネスが不可分であることを認識し、より俯瞰的な視点からテクノロジー革新やビジネスイノベーションを捉え直すべき時期にあるといえるだろう。

 こうした背景から2018年における戦略テーマは、例年に比べて、よりビジネスに深く根差したものとなり、戦略的なデジタル技術の活用を示唆するものが数多く提起された。今回は、大きく「ビジネスの開発と遂行」「人材と組織の変革」「テクノロジーの高度活用」の3つの分野で構成されている(図1)。戦略テーマの起案にあたっては、将来動向を見据えた予測、各々の分野で重視すべきキーワードとともに、ITRの各専門分野のアナリストの合議を通じて決定した。

2018年に注目すべきIT戦略テーマ