2017年度は、国内企業の3割超がIT予算を増額させるなど順調な拡大傾向を示した。また、製品/サービス分野では、IoTやAI/機械学習への新規投資意欲の拡大が確認された。今回は、2017年8~9月にITRが実施した「IT投資動向調査2018」の結果を踏まえて、企業のデジタライゼーションへの投資の動向を紹介する。
IT予算を増額した企業が
3割を超える
ITRは、国内企業におけるIT投資動向の包括的な把握を目的としたアンケート調査を2001年より毎年実施しており、2017年8~9月に実施した今回は通算で17回目を数える。ITRの顧客企業やWebアンケートの独自パネル会員のうち、国内企業のIT戦略やIT投資の意思決定に関わる役職者を対象にアンケートを依頼し、2554件の有効回答を得た。本調査では、従来から定点観測しているIT予算の増減傾向や製品・サービスの投資意欲の動向の変化に加え、企業が昨今抱えている課題について推進役を担うべき部門について着目している。
まず、IT投資の増減に関する傾向から確認してみよう。2017年度(2017年4月~2018年3月)のIT予算は、前年度から「増額」とした企業の割合が34%と、前年調査における2016年度の値から大きく上昇して3割を超えた。一方、「減額」とした企業の割合は前年調査の結果からさらに下回り、2001年の調査開始以来で最も低い水準となった。
2018年度(2018年4月~2019年3月)に向けた見通しでは、「増額予定」が「減額予定」を大きく上回る傾向と、減額を見込む企業の割合が一桁台という様相は2017年度と同様であり、総合的にはIT予算の増額傾向は継続する予想である。(図1)
なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資増減指数」を見ると、2017年度の実績値は「2.58」となり、前年調査時の予想値(1.73)を大きく上回り、リーマンショック以後の2009年度以降では最高の水準となった(図2)。2018年度の予想値は、「2.43」となり2017年度の実績値より下回っているが、近年の前年予想値は実績値と同等かそれ以上となっていることを考慮すると、2018年のIT投資もポジティブな傾向が期待される。