熊本県の決断は
「攻め」の戦略である

 みなさんも、地方の観光土産屋などに行くと、地域色ゼロで、観光地の名前だけがプリントされているようなキーホルダーや置物などを見かけたことがないだろうか。あのような地域性のない土産物というのは、観光地の名前だけが張り替えられ、各地に出荷されているケースが少なくない。

 これが「レール物」と呼ばれる土産物だ。1950年代にはファンシーグッズやキャラクターの「レール物」が観光地を席巻するが、次第に下火になっていく。当然だ。この場所でしか買えるわけでもないので、日本人に「観光」というレジャーが普及して土産物に対する目が肥えていくなかで、「こんなのどこででも買えるじゃん」と、飽きられてしまったのだ。

「くまモン」も、今の人気にあぐらをかいてブランド化を怠り、単なるグッズビジネスで進んでいけば、「日本観光」で目が肥えてきた中華圏の客から飽きられるのは時間の問題だ。

 そのような意味では、これだけ海外に「ニセくまモン」が溢れかえる中で、グッズビジネスの利権を死守するだけでは、「昭和の土産物ビジネス」に先祖帰りしていると言わざるを得ないのだ。

 市場を閉じて「既得権益を保護する」という守りの姿勢より、「開く」ことで「くまモン」の価値をさらに向上しようという、熊本県の「攻め」の判断は評価できるのではないか。

 もちろん、好き勝手に使わせているだけでは、したたかな外国企業にいいように利用されて終わりだ。「くまモン」のイメージを守って、供給元である「熊本」の価値を上げられるようなルールを遵守させ、そのような企業の商品を、逆に熊本県のPRに利用できるような取り組みも必要だ。

「くまモン」はアジア圏だけではなく、ヨーロッパやアメリカからの観光客からも引きがある。「ミッキーマウスを目指す」というのはさすがに大風呂敷を広げ過ぎだが、世界に「日本」を広めるキャラクターになれるポテンシャルはある。

 果たして、「くまモン」は「世界のくまモン」になれるのか。注目したい。