「行政のアマチュア」宣言?
突っ込みどころ満載の福島市

 ミサトさんに、印象に残る福島市の主張ベスト3を挙げてもらった。

「そうですね……。1つ目は、『国の規定通りにやったから間違ってない。だから、処分は間違ってない』という内容です」

 私は思わず、「規定通りにやってないし!」とツッコミを入れた。福島市が参照したはずの「国の規定」には、「給付型奨学金は収入認定しない」と書いてあったからだ。

「2つ目は、『後で返したんだから、精神的損害もなかったし、生活への損害もなかった』というものです」

 判決文は、そこを全面的に否定した。

「3つ目は、『実施要領のどれに該当するかわからなかったから収入認定したんだ』。さすがに『はぁ?』と思いました」

 福島市はまるで、「私たちは行政のプロではありません」と宣言しているかのようだ。私がそう言うと、ミサトさんは「そうですね」と爆笑した。しかし、笑い事ではない。

「福島市の違法性が認められて、私たちに損害を与えたことも認められたわけですが、だからと言って、時間が戻ってくるわけではありません。勝訴して、ほんの少しだけ気持ちが楽になった程度です」(ミサトさん)

 そこに、給付型奨学金を収入認定されたことへの思いも重なる。

「単に『学ぶためのお金』ではなかったんです。努力して、自分でつかんだ成果です。それを『なかったもの』にされたことが、一番大きかったと思います。そこを、裁判官がちゃんと見てくださったことは、とても嬉しいです。まっとうな判決への感謝の思いもあります」(ミサトさん)

 しかしながら、「勝ったと言っても」という思いはどうしても消えない。

「今から何をしても、失った時間は戻って来ません。そこは、仕方のない部分ではあります。『とにかく、同じことが二度と起きないように』という思いが強いです。今、生活保護での大学進学が話題になっていますが、『今回の勝訴で少しでも光が差してくれれば』とは思います」(ミサトさん)