3300rpmを境に、エンジンサウンドは突如、バイオレンスモードに切り替わる。NA時代に比べれば、野太い音だ。高回転域でのドラマチック性はさすがにNAユニットにはかなわない。だが、他ブランドのターボ仕様とは比べ物にならないほど官能的だ。ターボになっても、フェラーリのエンジンパフォーマンスは素晴らしい。まさにほれぼれとする。

 458に比べて乗り心地は格段によくなった。強靭なボディに、しなやかな足回り、そしてハイスペックのパワートレーン。我慢しきれずフルスロットルを試す。エンジンもタービンも、そのレスポンスは鋭く、ターボラグなどまるで感じさせない。大排気量で敏感な自然吸気エンジンのような印象だ。強大なトルクに支えられながら、車体がほとんどエンジンと一体になってアクセル操作に反応する。この感覚は独特だ。以前のNAモデルでは味わえなかった力強いフィーリングである。シフトアップ、シフトダウンともに変速スピードは速い。DCT方式の7速ミッションは、ターボが生む分厚いトルクを絶対に途切れさせない。それゆえ、いつでもどのギアからでも、自在に力を引き出せる。

 488シリーズの進化ポイントのひとつ、エアロダイナミクス性能が向上した効果で、高速走行時に驚異的な安定感を見せる。安定感が高い分、スリルに欠け、速度感にも乏しい。知らぬ間にどんどんスピードが上がっていく。

 高速道路を降りてワインディングロードへ。フロントアクスルの動きと乗り手の両腕がリニアにリンクしており、ステアリングホイールの切りはじめから旋回中、コーナー出口に向け戻しはじめるまで、手応えがよく、つねに安心感がある。コーナリング中に何が起きても対処できるという“妙な自信”を持って旋回できた。

 車体はつねに制御システムSSC-2コンセプトによってコントロールされており、その制御にドライバーはなんら違和感を覚えない。自然な車両制御こそが、現代のハイパフォーマンスカーにおける新たな人車一体感だろう。

 もはやNAの跳ね馬には、戻れない。488は、NA独特のサウンドやシャープな回転フィールといった、わかりやすい“魅力”とトレードオフして余りある、驚くべき絶対性能を手に入れた。488のスピード性能はライバルを確実に凌駕する。圧倒的なパフォーマンスこそ“ターボ・フェラーリ”の本質である。

(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/小久保昭彦)