領土問題で揺れる対中政策
同盟国との連携強化がカギに

――日本と中国は、これまで領土・領海問題をめぐって緊迫した関係を続けてきました。今後は、どのように関係を修復しつつ、問題に対処すべきですか。

 2010年末に起きた延坪島砲撃事件後、韓国では報復を求める声が非常に強かった。その一方で、紛争をエスカレートさせない方針を明確に示しながら、日韓は非常に大規模な軍事演習をすることで北朝鮮や中国に対して力を示した。日本の基本的なスタンスも同様であり、今後は既に存在する日米や日韓、日豪だけではなく、ASEAN諸国とも同盟国のつながりをつくっていかなければならない。

 2010年に尖閣諸島中国漁船衝突事件が起こり、中国人船長を逮捕した際、日本政府はもっぱら「領土・領海の問題」を議論したが、その議論展開は間違いではないとはいえ、外交的に望ましくないと考えている。

「領土・領海の問題」と言った段階で、他国の支持は得にくくなるからだ。例えば、A国とB国が領土・領海でもめているときに、C国は介入したくないだろう。したがって、ここは問題の設定を変え、海上の安全な運行を阻害する行為は絶対に認められないという議論にすべきである。紛争のエスカレートを止めながら、他国が味方につく状態をつくることが大事なポイントだろう。

 そして、中国を相手に外交政策を展開する場合、交渉のパイプを常に残しておくことが最も重要で、そのチャネルをつぶすことは絶対にしてはいけない。中国が孤立すれば、むしろ封じ込められた状態を突破することに長けている人民解放軍が、一気に影響力を強めてしまう恐れがあるからだ。したがって、今後はある程度の交渉チャネルを持ち、日中2国間ではなく、日中韓や日米中など3国サミットを堅持し、常にチャネルのなかに中国を入れることがカギになるだろう。