応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつある。本連載では、発売直後から立て続けに増刷が決まった元イェール大学助教授・斉藤淳氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から一部抜粋して、「世界のどこでも生きていける頭のよさ」を育てるための英習メソッドを紹介する。
英語でサイエンス!はじめてのCLIL
小学校3年生からは「社会」や「理科」の授業もはじまりますから、サイエンスの世界やドキュメンタリーのコンテンツに興味を持つ子も出てくるでしょう。すでに学んだことを端緒にしながら、英語のコンテンツを選んでいくこともおすすめです。
これらの分野は動画コンテンツとも相性がよく、クオリティの高いものがたくさん無料で公開されています。
J PREPでも、理科や社会科の学習と英語授業を掛け合わせたCLIL(クリル:Content and Language Integrated Learning)指導を行っています。
たとえば、学校の「理科」で光の勉強をしたタイミングの子どもたちには「虹を英語で表現してみよう」という授業をやってみました。虹の7色(Red / Orange / Yellow / Green / Blue / Indigo / Violet)をネイティブが暗記するときの方法だとか、赤と黄を混ぜたら何色になるかといった話をすると、明らかに生徒の反応が違ってきます。
ちなみに、7色の覚え方には、頭文字を「ROY G BIV」(ロイ・G・ビヴさん)と人名っぽく並べるやり方があります。
既知の内容を英語で学び直すという意味では、「算数」も非常に適した素材です。基数(one, two, three...)を100くらいまで言うとか、「1+1=2」とか「18×2/3=12」を英語で言ってみるといった練習は、子どももとっつきやすく感じるようです。
「算数」を英語で学ぶと、不定冠詞の意味や、可算名詞/不可算名詞の違いに、ぼんやりと気づくきっかけにもなります。学校英語であれば、「可算名詞と不可算名詞があります。waterは不可算名詞なので不定冠詞はつきません」というように、演繹的な教え方をされましたが、本来は子どもが自らルールを「発見」するのが理想です。
英語で算数を学ぶうちに、「そういえば、appleが一つのときにはanだけど、2個以上だと-sがつくんだな」とか「あれ?waterはwatersとならずに、three glasses of waterという言い方をするのか」というふうに"気づかせる"ことを目指しましょう。