応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつある。本連載では、発売直後から立て続けに増刷が決まった元イェール大学助教授・斉藤淳氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から一部抜粋して、「世界のどこでも生きていける頭のよさ」を育てるための英習メソッドを紹介する。

英語は「静かにお勉強」はNG

母語能力の発達から言うと、書く技能は、小学1年生が主語・述語を使った短文、2年生では感想文などの「自分の気持ちを伝える文」を書けるレベルが一つの目安です。英語に関しても、文字を書く練習をはじめて、簡単なセンテンスが書けるくらいを目指すといいでしょう。

注意してほしいのは、書くときも「音」を意識すること。日本の教室環境では、静かに黙って机に向かうことが生徒の美徳とされがちですが、語学についていえば、それはマイナスです。書くたびにその文字や単語・文を声に出すようにしましょう。「静かにお勉強しないこと」が英語ではとても大切なのです。

この時期からは単語やその組み合わせを「発音する」だけでなく、それらの単語が含まれた文や文章を「読んで理解する」ことも大切にしてください。「音×文字」の関係だけでなく、「文字×意味」にも踏み込んだこの学習アプローチをバランス型リテラシーアプローチ(Balanced Literacy Approach)といいます。

フォニックスの教材を使いながら、次のような練習をしてみましょう。これを繰り返すことで、「単語→文」「文→文章」「文章→ストーリー」という構造、さらには「主語が先に来る」とか「最後はピリオドがつく」といった文の成り立ちについても自然と理解が進みます。これは今後、英文を書く力を養う際にも重要になります。

(1)書写からはじめる
まずは英文を書き写す練習からはじめます。ひらがなやカタカナと同様、丁寧に書くことも大切なので、ヨコ罫が入っている英語学習用のノートを使いましょう。絵本であれば、絵も模写させます。お気に入りの絵本の文章と絵の両方を書き/描き写して、自分だけのオリジナル本をつくるのもおすすめです。

(2)単語の穴埋めをやってみる
たとえば「The (   )has two(   ).」というように、学んだ単語を復習できる穴埋め問題をつくってみましょう。解かせる際には、必ず「The cat has two hats.」のように音声を聴かせます。CDを聴かせてもOKですが、親御さんが読む場合は、それぞれのセンテンスをゆっくり2回、そして普通のスピードで文を1回、読んであげてください。単語の穴埋めができるようになったら、全文を書き取らせる練習(ディクテーション)にも挑戦しましょう。