そして、講演の締め括りとして、デトロイトはこれからも米自動車産業の中心地であり、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービル)がメキシコからミシガンに生産拠点を移転させることを称賛し、会場からの拍手を待った。

 チャオ長官は台湾出身で、若い頃に運輸省でのキャリアを経て、クリントン政権時に労働省長官に就任。アジア系議員としては初めて政権の主要ポストについた人物だ。

 運輸行政に明るく、労働行政のトップに立ったという彼女の実績は、トランプ大統領が掲げる「メイド・イン・アメリカ」、「バイ・アメリカン」という方針にベストマッチする。

 チャオ長官の“押しの強さ”を実感する講演を聞きながら、筆者はトランプ政権による自動車政策の行方に不安感を覚えた。

デトロイトショーの凋落に見る米自動車産業の不透明感デトロイト3は新型フルサイズピックアップトラックを盛大に発表。こちらは、FCAのラムトラック Photo by Kenji Momota

 それでも自動車メーカー各社は、トランプ政権への忠誠を誓うべく、BMWはサウスカロライナ州の生産拠点での新型SUV製造発表で「アメリカは我々にとっての第二の故郷だ」と発言し、またフォルクスワーゲンも北米仕様車のアメリカ国内開発チームの重要性を語る中で、プレゼン画面いっぱいに星条旗を掲げた。

 デトロイト3では、GMとFCAが主力製品のフルサイズピックアップトラックがフルモデルチェンジ時期に当たったこともあり、「アメリカン」な商品戦略を強調。そしてフォードは、60年代の象徴であるマスタングのハイパフォーマンス仕様の復刻版を仕立てた。その発表では、マスタングが登場する当時の人気映画に主演したスティーブ・マックイーンの孫娘がプレゼンターとして登場すると、会場内から割れんばかりの歓声が上がった。