大学受験・公務員試験の受験者必読!
「どうやって評価が決まるのか?」
「自分の書いた答案は、どこが悪いのか?」
「どうすれば、合格答案が書けるようになるのか?」
本連載では、新刊『落とされない小論文』の著者が、これらの疑問に明確な結論を出します。本番直前からでも、独力で合格水準まで到達するスキルと考え方をお伝えしていきます。
(構成:今野良介)
「具体的に書け」と言われたら
何を書けばいいのか?
小論文指導において「具体的な言葉で書きなさい」とはよく言われることです。たいていの小論文の指導本に書いてありますし、小論文の指導を受けたことのある人ならば、一度は言われたことがあるでしょう。
それにもかかわらず、なぜ、多くの受験生がこのミスを犯してしまうのでしょうか。それは、「どう書けば具体的になるのか?」を知らないからです。
もっと言えば、指導する側が「どう書けば具体的と言えるのか?」を教えていないからです。さらに、「なぜ具体的な言葉で書かなくてはならないか?」ということまで教えられていないからです。
このミスは、第3回の記事『小論文受験者の5割以上が「このミス」で落とされる!』と同じように、あらゆる小論文試験、あらゆる受験者に共通して見られる傾向です。
具体的な文章で、原因と対策を説明していきましょう。
【大学入試の想定問題】
あなたはなぜ本学を志望しているのか、理由を述べてください。
【低評価の解答例(1)】
貴大学には優れた学びの環境があり、さまざまな高度な知識を身につけることができます。私はここで多彩な人たちと触れ合い、学び合うことで自分自身を高め、海外で仕事をするという将来の夢を実現したいと考えています。貴大学は国際交流にも力を入れており、私の理想の学びの場であるといえます。これらの理由から是非入学したいと考えます。(以上)
【高評価の解答例(1)】
貴大学は、西洋哲学や経済史など、学科を超えて授業を選択することができ、専門に限らず幅広い知識を身につけたいと考える私には大変魅力的です。また、私は将来、外国企業でマーケティングの仕事をしたいと考えています。その点においても、留学生が半数以上を占める貴大学は、世界中の人と議論したり、お互いの文化、考え方に触れたりできる絶好の場です。貴大学は私にとって理想の学びの場であり、是非ここで学びたいと考えています。(以上)
【公務員試験の想定問題】
行政と住民との連携をどう進めていくか、考えを述べなさい。
【低評価の解答例(2)】
行政の仕事において住民との連携は不可欠であり、積極的に取り組む必要がある。まず、住民の声を少しでも多く政策に反映し、住民のための、暮らしに密着した市政を実現していくべきだ。また住民の声を聞くだけでなく、市政の情報も住民と共有し、住民との距離を縮めていかなければならない。さらに、市の現状を俯瞰し、財的、人的資源が限られる中でも、住民と協力し合い一体となって市の課題を解決するなど、今後住民との連携を一層深めていくことが大切である。(以上)
【高評価の解答例(2)】
行政の仕事において住民との連携は不可欠であり、積極的に取り組む必要がある。例えば、定期的なタウンミーティングの開催や住民アンケートの実施により、住民の声を聞きとり政策に反映していくべきだ。また住民の声を聞くだけでなく、市の広報誌やサイトなどを通して市政に関する情報を積極的に発信し、住民との距離を縮めていかなければならない。さらに、市の財的、人的資源が限られるなか、例えば高齢者の見守り事業をボランティアやNPO団体と協力して行うなど、住民との連携を一層深めていくことが大切である。(以上)
さて、2つの「低評価の解答例」のどこに問題があるか、気づいたでしょうか?