物理学に触発されたエンターテインメント
──太田さんは小説を評するとき、人間が描けているかどうかということをよく言われますが、今回の『文明の子』ではキャラクターがリアリティを持って実に自由に物語を動かしているように感じました。
太田 じつは今回の小説のキャラクターにはある意味を持たせているんです。いま物理学に興味を持っていて、基本になる4つの力、重力相互作用と電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、これが物理の世界でキーワードになっているんだそうです。この4つの力については今の物理学では、それぞれが縦割りで研究されている。それを世界中の物理学者が統一させようとしてるんです。だけれどそれがなかなかできないでいる。
それで僕は今回の小説のなかで、ワタルとマナブという主人公の少年、犬のソラとウミ、それぞれが「4つの力」を担っていて、その4つを統一させる旅というテーマを自分の中に設定しました。ワタルというのはそれを探すために渡っていく象徴で、マナブは学問、ソラは太陽の源泉であり、ウミは量子の水素。実はそういう役割分担を自分の中ではさせていたんです。
──こうしてお話を伺ってみると『文明の子』には非常に深い意図があるのですね。では最後に読者へのメッセージをいただけますか?
太田 いろいろと難しいことも言いましたが、この小説は2人の少年がワクワクする冒険の旅に出るという物語です。是非エンターテインメントとして楽しんでください!
こちらから『文明の子』発表記者会見の様子がご覧頂けます。
http://www.titan-happy.jp/blog/5572
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『文明の子』 太田 光[著]
地球、そして地球とは別の進化を成し遂げた星の過去と未来に秘められた謎。
新たな文明へと踏み出すために動き始めた子供たち。果たして人類の行く末は生か死か?
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