中抜きや不正が簡単にできる座組みではない

 寄付金や資金の管理・運営は、下町ボブスレー合同会社が行っている。下町ボブスレー合同会社は、JAPANブランド育成支援事業の採択が決定される2日前、下町Pの主な幹事企業によって設立された。合同会社の会計は構成会社(役員)内部で完結できるものだが、企業スポンサーや経済産業省には年度ごとの収支報告を行っている。この状態で関係者、コンサル・代理店(いたとして)が中抜きできるとしたら、スポンサー企業や経済産業省の担当者全員が結託していないとまず無理だろう。

 スポンサー企業は、当然資金提供に見合う報告を要求するはずだし、省庁の補助金事業は、報告書の公開義務はないが、不透明な報告で複数年の事業継続は難しい。省庁は補助金の使い道を管理しろという意見はあるかもしれないが、行きすぎると行政や国による民間事業への不当な介入につながる。

そもそもこのプロジェクトは何を目指していたのか

 多くの報道や情報で抜けているのは、プロジェクトの目的である。もともとは、技術力の高い大田区のものづくりを活性化させるために始まったものだ。部品や素材の加工技術が問われるボブスレーのソリを作ることで、技術力の認知を起点にビジネスの拡大につなげることが目的で、オリンピックチームに採用され実績を上げることはその手段のはずだ。

 JAPANブランド育成支援事業に採択された目的も、ボブスレーの開発を通じて高い技術の日本製品を海外に展開するというもの。そのため事業費には、ボブスレーの開発や海外遠征の費用だけではなく、海外の見本市などに開発したボブスレーを展示しながら、協賛企業の各技術や製品をアピールする費用が含まれている。事業の主旨からすると、ボブスレーを作ってオリンピックに出る、という目的では採択されなかったはずだ。

 下町Pでは、過去にドイツで開催される医療系の機器・加工技術・素材技術の見本市「COMPAMED」に協賛企業らが出展している。大田区産業振興協会によれば、会場での引き合い、商談は100件以上あり、経済産業省の報告書には詳細が記されているという。

双方の目的の違いが問題の原因

 展示会や営業活動の評価、効果測定は難しい。その場で受注につながらなくても商談や関係が継続する場合もあるし、直接の成約率やコンバージョンレートのような目に見える効果測定値にまどわされると、マーケティングそのものが失敗することもある。オリンピックに出場することよるPR効果をもって、大田区を中心とする地元企業の売上や取引額の中長期での拡大が、このプロジェクトのゴールだ。