高級ブランドを着用したからといって
言動が変わるわけではない

「アルマーニ」を採用した理由として、和田校長名の保護者宛ての文書から私が読み取れることは、次のとおりだ。

・帰属意識や誇り、美しさを保つ
・言動や公共の場でのマナーの自覚を高める
・「ビジュアルアイデンティティー」を「スクールアイデンティティー」に昇華していく
・銀座の街のブランドと泰明ブランドを合わせ、銀座にある学校らしくなる

 中身を変えるには、まず外側からということだろうか。しかし、20年来、現在では年間100社、3000人のビジネスパーソンや学生を相手に能力開発プログラムを実施している私には、「アルマーニ」を採用したからといって、これらの目的が果たされるとは到底思えない。

「アルマーニ」の標準服は、ある層には美しさを訴求するかもしれないが、それで帰属意識が高まるのか。保護者に多額の出費を強いて買わせた標準服が、自己の誇りにつながるのか。ノーブランドだろうが、なけなしの出費に支えられた着古した洋服だろうが、自己の誇りは、そのような外面に左右されない、内面にこそあるのではないか。

 ビジネスパーソンであれば、高級スーツを着た上司や客先が、見るに堪えない言動やマナーを見せる現場に直面したことが何度もあるだろう。私自身もその1人で、だからこそ行動変革プログラムを実施してきた。人間の変革にはやはり、中身を変えることが必須なのだ。

「アルマーニ」だろうが「エルメス」だろうが、どんな高価なブランドものを持ったところで、言動やマナーの自覚が高まるとは思えない。言動やマナーを変えていくためには、行動をパーツ化し、それぞれを反復演習していくことに尽きるということが、私が経験的に導き出した鉄則だ。

 制服が結束を高める効果は確かにあるが、銀座の街のブランドと泰明ブランドの融合になぜ「アルマーニ」の標準服が不可欠なのか、私には理解できない。