美容整形クリニックまでもが
“金のなる木”に参入

 勝俣医師によれば、多くの免疫療法は自由診療となるため、医療機関側の言い値で治療費を決定することができる。極端な話、医師がコップ1杯の水を「癌に効く」などと言い、べらぼうな値段をふっかけても罪にはならず、患者は原則全額を自己負担することになるという。

「故・小林麻央さんは、あるクリニックで1回あたり数万円の『水素温熱免疫療法』を受けていたとされていますが、水素で癌が治ったなどというエビデンスはもちろんありません。後にそのクリニックには業務停止命令が下りましたが、罪状は治療内容ではなく、無届けで臍帯血の投与を行ったことでした。つまり、水素で癌が治るといったトンデモ医学で高額な治療費を請求しても、罪に問われないのが今の日本の法律です」(勝俣医師)

 免疫療法は“金のなる木”となっており、近年は癌の専門ではない大手美容整形クリニックまでが参入している。

「美容整形は治療の効果が一目で分かるため訴訟が多いのですが、癌は体の中のことなので効果が分かりづらい。万が一、患者さんが亡くなっても『どうせ進行癌だったし、これだけ頑張ったんだからしょうがない…』と遺族も納得してしまうケースも多いため、訴訟が少ないという現実もあるのでしょう」(勝俣医師)

 言い値でできる自由診療は、医療機関にとってはまさにドル箱だ。しかし、標準治療に従事する医師たちから、相容れない部分の多い免疫療法に対して、もっと懸念の声が聞こえてきてもいいはずだが…。

「免疫療法を手がける最大手クリニックの理事の中には、元厚労相の事務次官などの名前があり、天下り先になっていることが見てとれます。さらに名実共に日本一と称される某大学病院とも提携して寄付講座なども行っています。それらの強力なバックがある限り、ほとんど誰も免疫療法に対して大々的に問題提起できず、タブー視されている状況がある、という見方もあります」(勝俣医師)

 免疫療法は、“玉石混淆”と評される。癌が治るなら全人類にとって福音だが、「玉と石」を見分けることは、素人にはほぼ不可能だ。患者は、保険適用治療=エビデンスがある、と判断する他はなく、エビデンスの有無を誠実に検証するのは、治療を提供する医療界側の責任だろう。医学は宗教ではなく、応用科学なのだ。