『週刊ダイヤモンド』2018年8月11・18日合併特大号の第一特集は「2018年版 決算書100本ノック!」。特集の発売に合わせた特設サイトでは過去の財務特集の人気記事や漫画などを無料で公開中。今回は本誌の人気連載「財務で会社を読む」から、米グーグルの親会社アルファベットの財務分析です。アルファベットの売上高が初めて1000億ドルを超えましたが、収入の8割以上を占める広告事業は成長を続けているが、じわりとコストがかさみ始めています。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

「グーグル創業20周年の2018年は、素晴らしいスタートになった」

 2月1日、米グーグルのサンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は、持ち株会社アルファベットの決算説明会で声を弾ませた。

 グーグルの力の源泉は、全世界で利用者が10億人を超すサービスを複数抱えていることだ。

 情報を調べるために数十億人が毎年数兆回も“ググって”おり、毎月15億人のユーザーが動画サービス「ユーチューブ」を楽しんでいる。そして、スマートフォン向けのOS「アンドロイド」は世界シェア約8割を占めている。

 巨大な影響力を持つグーグルに対し、17年は各国の規制当局の風当たりが強まった年でもあった。

 17年6月には、独占禁止法に違反したとしてEU(欧州連合)から27億ドルの制裁金を科された。そして、米国外の利益を本国に還流するための税関連費用の引当金として110億ドルを計上した17年度第4四半期決算は、30億ドルの最終赤字へと転落した。

 ただ逆風下でもなお、17年度の売上高は前年度比22%増の1108億ドルで、1000億ドルの大台を初めて突破。純利益も126億ドルを確保し、ITの巨人としての力を見せつけた(図(1))。