「語りかけている」雰囲気が
プレゼンの熱気を作る

 さらに、自分の表情をオーディエンスに見せることもできないので、せっかく同じ空間にいるにもかかわらず「語りかけている」という雰囲気を出しにくくなります。

「広い会場なら、向けているのが顔でも背中でも変わりないのでは?」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、私の経験から言えば、全く違うと断言できます。素晴らしいプレゼンテーションは、会場にいる人数が何人であろうと「自分に話しかけている」という雰囲気が伝わるものです。

 例えば、有名な歌手のコンサートで、後方の席なら表情まで読み取ることは難しいでしょう。だからといって、その歌手がずっと背中を向けて歌っていたとしたらどうでしょうか。「どうせ顔までは見えないから同じ」とはならないですよね。やはり、「会場に向かって歌いかけている」という雰囲気がないと、どうしてもコンサート会場の熱気は上がらないと思います。

 プレゼンテーションも全く同じです。やはり自分の顔をオーディエンスに向けて話すのは、「素晴らしいプレゼンテーション」の必須条件の一つです。ついついスライドのほうに顔を向けたくなる心理も分かりますが、できる限り会場の人たちに語り掛ける心意気で臨んでください。

手元を見つめる残念プレゼンでは
聴衆の爆睡にも気づけない

 二つ目のNG行動は「手元を見つめ続ける」ということです。プレゼンテーションの内容が頭に入っているかどうかが不安だったり、データを正確に話そうと思うあまり、手元から目が上がらなくなっている人も多いようです。

 これも、背中を向けて話すのと同様、自分の表情を見せることも、相手の表情を読み取ることもできなくなります。結果的に、満足度の高いプレゼンテーションを提供するのが難しくなってきます。

 ある時、私が同席した小規模なセミナーで、エンジニアがデモを交えながらプレゼンをしていました。そのエンジニアは画面の操作に必死になるあまり、全くパソコンのディスプレイから視線を上げなくなっていました。

 結果的に、参加者の全員が眠りについていることに気づくこともなく、ひたすら一人で話し続けるという、かなりシュールな状況に陥ってしまいました。

 プレゼンテーションにおいて、睡眠学習という手段はあり得ません。必ず相手の耳目をしっかりと掴んで、情報を届け、その人の未来の行動をプラスの方向に変えることこそプレゼンの醍醐味です。

 もちろん、詳細なデータや次に話すトピックを確認しながら話した方が完成度は増すので、ちらりと見ながら話すのは大いに結構です。ただ、手元を見つめっぱなしになるのは成功確率を下げてしまいます。ぜひともしっかり顔を上げて話すように心がけてください。