そのカズがクロアチア・ザグレブ、京都パープルサンガ、ヴィッセル神戸をへて横浜FCの一員になったのは2005年7月。今では最古参の選手となり、J2のピッチに立つたびに、そしてゴールを決めるたびに、Jリーグの公式戦最年長出場記録とゴール記録をそれぞれ更新するようになって久しい。

 昨シーズンは50歳と14日で迎えた、3月12日のザスパクサツ群馬戦で決めたゴールだけで終わった。もっとも、2月に入って「リーグ戦でゴールを決めた最年長のプロサッカー選手」としてギネス世界記録に認定されたという一報が届き、15日に都内で公式認定証を授与された。

「ギネスというネーミングを子どものころに聞いたときは、こういうところに出る人はすごいなと思っていました。でも、これが最後(のゴール)みたいになっちゃうのは嫌というか、自分がどう受け入れるかという問題があったんですけど。ひとつの評価として残ることは非常に光栄だと思いましたし、自分で自分の記録をすぐに破る意気込みでプレーすればいいかなと思っています」

25年後の今、カズが感じる“違和感”

 ギネス記録を更新することを、新たなモチベーションに加えたあたりがいかにもカズらしい。達成できる選手は今現在も、そしてこの先の未来でも、おそらくカズしかいない。未踏の地を突き進む不世出のスーパースターは一方で、ある種の違和感を覚えていた。

 それは25年前の熱気と興奮を知る男だけが感じる寂しさ、と置き換えてもいいかもしれない。カズは「Jリーグ元年のころとはすべてが違うので、比べられないんですけど」と断りを入れながらも、神妙な口調で四半世紀の時空を越えて日本サッカー界を対比させた。

「今は技術や戦術というものがおそらく先にくることが多いんですけど、勝負ごとの根本的な部分にあるものはやはり気持ちだと思いますから。あのころは何とかサッカーをみんなに見てもらいたい、サッカーというものがどのようなものなのかをわかってもらおうと必死だったので。

 その部分でお互いが勝負にこだわった、最後まで戦い抜く試合を毎回のように……今と比べると、どの試合も技術や戦術というものがどうだったかは、なかなか評価するのが難しいと思うんですけど。それでも1年目は、みんな本当に情熱というものがあったと思うので」