小室 戦力として計算せず、成果が出たら「儲けもの」という感じだった?

鈴木 そうです。しかも、結婚して子どもができたり夫が転勤したりすると、退職せざるを得ない、と。これは男女の評価を一定にして、女性も戦力として期待するところから始めないとダメだと思いました。

「女性は評価を望まない」
という大きな誤解

鈴木茂晴(すずき・しげはる)
京都府出身。1971年慶應義塾大学経済学部卒、大和証券入社。1997年取締役、2004年大和証券グループ本社社長、2011年会長。2017年3月31日付で大和証券の会長を退任。7月から日本証券業協会会長

小室 戦力として期待される。これは、本質的に女性たちが望んでいることですね。良かれと思って制度ばかりつくろうとする経営者が多い中で、鈴木会長はなぜ、その本質を見抜かれたのですか?

鈴木 前からずっと思っていたんですが、女性の悩みは男性の悩みとちょっと違うんですよね。男性の場合、「オレは出世できるのか」「ボーナスはいくらなのか」といったことに大きく関心を示します。女性もその傾向はゼロではないですが、それ以上に「自分はこの会社で役に立っているのか」といったことが大きな問題なんです。

小室 女性に対して、低く評価がつけられていると気づかれたのは何故ですか。

鈴木 営業職はある程度数字が出るから、わかるんですよ。だから、最初に私が言ったのは「数字を出してくれ。みんなに成績が見えるようにしろ」ということ。「成績を『見える化』したら、競争を煽ることになりませんか?」と反論を受けたので、「そもそもビジネスは競争なんだ。だから見せるべきだ。成績の良い人が高い評価を受けても、誰も文句は言わない。逆に、成果を出している人の評価が低かったら誰も納得しないよ」と返しました。

小室 どうして成績と評価のミスマッチが起きていたんですか?

鈴木 「女性は出世したいとは思っていないだろうから、評価は少し上げるだけで喜ぶだろう。その分、昇格を控えている男性を優先的に評価してあげよう」という思い込みで、やってきたんだと思います。