10年前に革命的だった「19時前退社」も今となっては時代遅れになりつつある、という鈴木茂晴・日本証券業協会会長。大和証券時代、女性役員を6名にまで引き上げた。こうした改革を軌道に乗せるにあたって、最も重要な要素とは何だったのか。前回に引き続き、小室淑恵・株式会社ワーク・ライフバランス社長との核心に迫る対談が続く(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/内藤洋司)

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就職人気ランキングは
社員のマインドに影響する

小室 働き方改革で、離職率も変化しましたか?

鈴木 今は常に3%以下にまでなっています。

小室 10年前は「会社が好きな人だけ残ればいい。嫌なら辞めてもらって、別の人を採ればいい」という考えが主流だったと思います。どうして2007年という早いタイミングで「人から選ばれない企業はサステナブルになり得ない」といち早く気づかれたのでしょうか?

鈴木茂晴(すずき・しげはる)
京都府出身。1971年慶應義塾大学経済学部卒、大和証券入社。1997年取締役、2004年大和証券グループ本社社長、2011年会長。2017年3月31日付で大和証券の会長を退任。7月から日本証券業協会会長

鈴木 どこまで自覚していたのかはわかりません。ただ、社長になってすぐ、人事部長と広報部長を呼んで「就職人気ランキングを10位以内に上げてくれ」と伝えたのは覚えています。広報部長は「うちのビジネスを考えたらとうてい無理です」と即答していましたね。

小室 業界自体の人気がないということですか?

鈴木 夜遅くまで仕事をしているし、入社してもたくさんの人がすぐ辞めることは学生でも知っている、と。そこで、とにかく会社のレピュテーション(評判)を上げるためなら何でもいいから投入しろ、と言いました。

小室 こうして、19時前退社をはじめとする徹底した働き方改革が行われたわけですね。今の学生はリサーチ力がすごいですからね。

鈴木 入社直後なのに、私も知らないような会社の細かいことまで知っていたりする(笑)。こうした取組みの成果で、07年には27位だった東洋経済「就職人気ランキング」の順位は、現在6位まで上がりました。

小室 すごいですね!