人気の不動産サイト「東京R不動産」は、多くの人たちから支持され、不動産サイトを超えた一つのメディアとして独自の地位を築いている。1日150万PVを誇る「ほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)」もまた、常に他のメディアとは違う「らしさ」を生み出してきた。対談シリーズ最終回は、独自性を保ち続けるための採用・人事から今後のビジョンまで、2社の共通点と相違点を通して働き方の未来について考えていく。
給与の決め方の相違点
「フェアな話し合い」と「年功序列」
米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て、2008年に東京糸井重里事務所に入社。取締役CFOとして、管理部門、事業計画、経営企画のような仕事を組み立て中。
ほぼ日・篠田:『だから、僕らはこの働き方を選んだ』にもありましたが、やっぱりフィーの決め方は驚きますね。複数の人が関わる案件の場合、みんながいる場で話し合うんですよね。
東京R不動産・林:前提として、個人事業主がチームとして動いているということがあります。だから、個人の売り上げは基本的に個人のフィーに反映される。ただ、複数の人間が担当した場合、物件を見つけた、お客さんを連れてきた、交渉したなどの役割に応じて、ある程度ルールは決まっています。それに従っておおかた解決できます。
東京R不動産・吉里:例えば、交渉した人が2人いたとか、物件を一緒に見つけることになったとか、役割が重なっていた場合には、「どこがフェアだと思う?」ということを直接話し合うんです。ポイントは、全員「遠慮がち」というか、それこそ「性善説」が通用するメンバーだということですね。誰か一人だけ押しが強いということもなく、「自分が半分じゃ多いと思う」とお互いが言う。そうやってフェアに決まっていく感じです。
基本的にフィーは、個人事業主の集まりなので、それぞれの成約率や仕事に応じて決まってきますが、ただ中には設計の仕事をしているメンバーもいて、そういう場合は固定給になっています。
篠田:そこだけは、糸井事務所が年功序列的なものだというのと近いかもしれませんね。1回目の対談でお話ししましたが、ほぼ日では仕事の性格上、働いた内容での売り上げが明確化できないので、年功序列に近いイメージで査定をしています。根本的に、全員社員として仕事をしているので、報酬は給与という形。このあたりはだいぶ異なりますね。