山東昭子氏が語る
厚労省案了承の舞台裏

 これが政治というものなのでそれはいいとしても、個人的に気にかかるのは、なぜこうも緩い規制になってしまったのか、ということだ。

 日本は「たばこ事業法」という法律によって、国がたばこ事業の健全な発展を後押しして税収確保をしなくてはならぬ、という政治的制約がある。一方で、たばこによる健康被害は世界の常識となっており、屋内禁煙は先進国なら当然という潮流だ。今回の規制議論のきっかけになったオリンピックはWHOとともに「スモークフリー」を謳い、開催国には例外なく屋内禁煙規制を求めている。過去にはロシアや中国という「愛煙国」までも、これに素直に従っている。

 また、本連載で過去に述べたように(『「禁煙化で小規模飲食店が潰れる」は大ウソだ』を参照)、海外では飲食店が全面禁煙をしても売り上げは減らず、むしろ増えているという動かしがたいデータもある。しかも、国内の喫煙者数は右肩下がりで、JTの最新調査でも喫煙率は18.2%だ。

 時代の流れ的にも、市場原理的にも、「飲食店全面禁煙」へ流れていくのだろうなと見ていたが、蓋を開ければ、飲食店の半分で吸える結果に終わった。条件闘争としては、これは「喫煙擁護派の大勝」といっても差し支えない話である。いったいどういう政治力学が働いのだろうか?

 そこで、大物ヘビースモーカー議員が多くいる自民党内にあって、『「バー、スナック以外の飲食店」については店舗面積にかかわらず原則屋内禁煙とすべき』と強く主張してきた、自民党受動喫煙防止議員連盟の会長を務める山東昭子参議院議員のもとへ話を聞きに行った。

 これまで、自民党本部における会議での禁煙を実現したり、喫煙スペースをつくったりするなど、自民党内での受動喫煙対策に力を入れてきた山東氏は、やはりというか今回の法案に対する不満を口にした。

 ただ、その一方で、厚労部会で了承されたことについては一定の評価をしているという。昨年のように党内で衝突し合って、法案が流れてしまえば、なんの対策も打つことができない。そうなれば、結局は「望まない受動喫煙」の害を受けている方たちが不利益を被る。「完全勝利」のみにこだわるべきではなく、まずは少しでも前に進めるべきだというのだ。

「もちろん我々も、(愛煙家議員が大勢いる)たばこ議連側も、それぞれ不満があるけど、このへんで折り合わないと。いつまでも100%主張し合っていても法案になりません。そういう意味では今回は痛み分け」