エリート中国人留学生が見た
日本の就活の異様さ

 中国の基準で言えば、都市部であっても新卒で4000元は比較的高い方である。しかし、有名大学の理系出身者などは、日本円にして1000万円以上の年収を手にする人もそれなりにいるという。しかも、中国では物価や不動産の上昇率が高いため、成長産業に従事する一部の人たち以外は、たとえ優秀であっても稼げる額には限界があると陽さん考えている。

 加えて、国営企業特有の体質が陽さんには合わなかった。

「国営企業はコネがものを言う世界です。私が勤めていた時も、直属の上司が社長の親戚だったので、大した能力もないくせに、かなりいいポジションに就いていて、それがとにかく気に食わなかった。他の従業員にしても、ダラダラお茶を飲みながら時間を潰しても給料は保証されている。一方で、どんなに頑張って成果を残しても、それが報われることはありませんでした」

 陽さんは、誰よりも日本語を流暢に話し、仕事もできるという自負がある。実際、取引先からは仕事ぶりが評価され、指名されてアテンドを依頼されることも多かったという。しかし、そうした努力も会社では評価されることなく、給与が上がる見込みもない――。そんな閉塞感が、陽さんを日本への留学へと駆り立てた。

 大学院の2回生となった彼女は今、日本で就職活動を続けている。しかし、ここにきて自信をなくしているのだと話す。

「日本の就活は実力を見るというよりも、就活のテクニックを評価されている気がします。大手企業のインターンに行きましたが、完全に体育会系男子の社会で、女性はその横で『なにこれすごーい』って媚びてばっかりのように見える。正直、この人たちと一緒に働きたくないというか…」

 不安な気持ちはありつつも、少なくとも今後、数年は日本で働いて自分の実力を試してみたいと陽さんは話す。