この8月から、成田空港発着の国内線LCC(ローコストキャリア、格安航空)が就航するのに合わせて東京都心~成田を結ぶ格安バスが登場しそうだ。京成バスが検討している。
2012年はLCC元年といわれ、首都圏では8月からエアアジア・ジャパンが成田~札幌、福岡、那覇に就航し、ANAやJALの普通運賃の2分の1~3分の1の価格で飛ぶと見られる。だが、成田発着のLCCには、大きな課題がある。東京都心~成田を結ぶ足の確保だ。
羽田空港と異なり、都心から遠い成田は地上の移動に時間もおカネもかかる。成田エクスプレスでは新宿駅~成田が3110円、京成スカイライナーでは上野駅~成田が2400円、リムジンバスでは東京駅~成田が3000円だ(いずれも片道)。京成電鉄の特急なら上野駅から1200円だが、通勤列車に大きな荷物を持ち込むなどの不便を伴う。
LCCの運賃が安くても、高額な地上交通の出費と相殺されては妙味が薄れてしまうが、格安バスが登場すれば利用者はトータルでの低価格を享受できそうだ。
「価格などの詳細については、まだ模索中」(木下良紀・京成バス取締役営業部長)というが、エアアジア・ジャパンなどLCC側は、1000円を切る価格での運行を切望している。
京成バス側は、トイレをなくしてシートピッチを詰める、路線を絞りピストン輸送で稼働率を高めるなど、あらゆる工夫でコストを切り詰める算段だ。さらに格安バスの成否は集客力が大きなカギを握っており、詰まるところLCCの集客力次第といえそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)