「問題はその後です。私たちはSさんの代理業者として長くやっていたので、知り合いのお客様がたくさんいます。そのお客様たちが『新しい代理業者はどうなってるの!?』と怒ってきました。何人も、です。私はもう関われないのですが、相当管理がひどいようで……。結局、Sさんの会社もそこから経営が危うくなっていると聞きます」

 何を信じるかは本人の自由だが、こういった例はどう考えても悲惨である。 

中高年が出合う「自分ではどうにもならない不安」
そこから依存→失敗の道ができることも

 マインドコントロールなどの研究を行う、立正大学 心理学部教授の西田公昭氏は、スピリチュアルを切り口に被害に遭うケースを多数見てきた。

「数億円失った人も珍しくありませんし、財産をすべて取られたケースも多数あります。自分の会社を占い師に乗っ取られた事例も聞かれますね。経営者や家庭を持つ人がハマるケースも多く、途中で妻が忠告したところ、妻を悪者に仕立て上げ、離婚に持ち込ませたパターンも多いです」

 繰り返すが、スピリチュアルを信じたり、嗜んだりすること自体が悪いというわけではない。しかし、上述のように盲信した結果、大金や家族、会社を失うのは明らかに“失敗”だ。それも、取り返しのつかない失敗だ。

 ちなみに、スピリチュアルにハマる人の傾向について「世代間の明確な差はない」と西田氏は言う。つまり、若い人も中高年も同じようにハマるということだ。ではなぜ、人生経験を積んできた中高年が没入するのだろう。ヒントとなるのは、西田氏が話した以下の見解だ。

「生きていれば、自分の努力や行いだけではどうにもならない事柄に直面します。そして、そこに大きな不安を感じるケースがあります。例を挙げれば、子どもの病気や受験、仕事なら部下の働きやトラブルなど。このとき、当事者は『運に頼る』しかなくなります。そこで台頭するのがスピリチュアルで、このタイミングで心を掴まれると依存を強めやすくなります」