安倍首相が3%の賃上げ要求
経団連も足並みを揃える異例の事態

 アベノミクスが始まった2012年以降を見ても、企業がベアになかなか踏み切らない傾向は顕著です。この頃からコーポレートガバナンス(企業統治)改革が叫ばれ、企業は株主重視の姿勢を強めてきました。その結果、増配と自社株買いといった、いわゆる株主への還元は大きく増加しました。この考え方では、賃上げは二の次になります。

 一方で、従業員の立場で考えると、給料への還元は不十分です 。財務省の法人企業統計によると、00年からリーマンショック時の一時的上昇を除くと、以前の労働分配率(金融業、保険業を除く)は概ね70%となっていました。しかし、14年度以降は景気回復によって利益が増加した一方、労働者の報酬がそれほど増加しなかったために労働分配率は低下し続け、15年度や16年度は00年以降で最も低い67%台まで低下しています。

 そうした背景もあり、政府は脱デフレの鍵として個人消費の底打ちが必要だと考えており、安倍首相は1月5日の経済3団体の新年祝賀会で「3%の賃上げ」を求めました。企業収益が最高益を更新し、17年の完全失業率が23年ぶりに3%を下回るなど雇用が改善する中で、春闘での賃上げがアベノミクスによる経済の好循環を持続的に向上させていく鍵と見ているからです。

 しかも今年の春闘では、政府に加えて、企業側の組織である日本経済団体連合会(経団連)も「3%の賃上げ」という異例の目標を打ち出しました。

 労働組合の中央組織である連合 は、2月5日に総決起集会を開催し、18年の春闘の方針として、全ての働く者の賃金の“底上げ・底支え”と“格差是正”の実現に取り組む方針を掲げています。具体的な賃上げ要求水準は、ベアと定期昇給相当分を合わせた月例賃金で4%程度となっており、5年連続でベアを要求しています。