内需産業は給料アップで人材確保
外需産業は慎重な構え

 では、経営側の対応はどうなるのでしょうか。「3%の賃上げ」を巡り、食品や日用品など内需型企業では積極姿勢が目立っています。一方、グローバル競争にさらされる自動車や電機などの外需型企業は慎重な構えを示しています。

 内需型企業で積極姿勢が目立つのは、内需が緩やかながら安定的に成長すると見込まれることに加え、日本国内における人手不足が極めて深刻な状況になってきているため、報酬などの処遇改善を行うことによって、人材の確保を行う必要性が高いためです。

 一方、外需企業が賃上げに慎重な姿勢を見せるのは、事業地域が日本に限られないために、人材確保の観点で日本を特別扱いする必要はなく、むしろ成長が高い国・地域に人件費をより多めに配分したいとの考えがあるためと思われます。

 また、日本の輸出企業の収益は、ドル円などの為替レートの影響を大きく受けますが、為替レートは年々変動するため、安定的に収益が成長するとの見込みが立てにくい、という事情もあります。

 しかし、経営側は悠長に構えてもいられません。株式市場の状況と人材不足が、企業の賃上げに追い風を起こす可能性が高まってきていると見込まれるからです。

 今年2月以降は、世界的な株価の乱高下と円高が急速に進みました。新興国からの追い上げで高付加価値経営を目指さなくてはならない日本にとって、この状況は成長の阻害要因にもなりかねません。

 まず、株価との関連についてですが、日本の株式市場が安定し、上昇トレンドに戻るために必要なのは、今後の利益成長です。世界経済は堅調な成長が続くと見られますが、日本経済はこれまで堅調だった輸出に加え、消費や投資といった内需の活発化が望まれます。

 そのためには、史上最高水準にある利益を従業員により多く還元して、働くモチベーションを高めるとともに、技術向上も含めた設備投資を行うことによって生産性を高める必要があります。企業が賃上げを決定する際には、是非、こういった観点を念頭に置いていただきたいものです。