税金が高いから贅沢はムリ
高級車やブランド品とは無縁な生活

「所得税はほぼ50%で消費税も25パーセント。自動車の登録税なんて150%ですから、高級車に乗っている人はほとんど見かけません。日々の移動は基本、自転車です。消費税が高すぎるため、必然的に買い物をする際は吟味して、本当に気に入ったものしか買わなくなりますし、ブランド物にもなかなか手が出せません」

「インスタ映え」の対極、デンマーク人の人生観に癒される人多数取材協力:芳子ビューエルさん 北欧流ワークライフデザイナー。北欧輸入の第一人者、通販コンサルタント。高崎の「インテリアショップALTO・カフェ」にて高崎にて、ヒュッゲをコンセプトにした複合店舗・インテリアショップ「ALTO」と、カフェ「ヒュッゲ」を展開し、北欧にまつわる料理や商品を日本に合わせた形で提案。著書に『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』(大和書房)

 日本社会に蔓延しているような、子育て不安や老後破産とは無縁な一方、ジャンジャン消費を楽しむことは難しいデンマーク人。こうした社会環境から、ミニマリストで、シンプルな生活を楽しむ感性が生まれたのかもしれない。

 派手な色合いのドレスなどで着飾ってパーティーに参加している人を見ると「あの人、きっとアメリカ人よ」と皮肉られることがあるほど、デンマーク人は黒・グレーなどのベーシックな色合いを好み、そこに控えめにアクセサリーを用いるというのが定番だという。

 一方で日本は、アメリカ式の華美でゴージャスな文化に慣れ親しんだ結果、生活に求めるハードルが上がってしまっているのではないかとビューエルさんは分析する。

「日本人は暮らしに求める基準が高すぎるから、不満も溜まりやすい気がします。誰かにいいね!を押してもらいたいと思えば思うほど、素の自分から離れていってしまうし、ナチュラルな状態ではいられなくなる。自然体で着飾らない自分でいることの素晴らしさが、”いいね!社会”では、どんどん失われていく気がします」

 毎日を慎ましく丁寧に、シンプルに重ねていくデンマークのライフスタイルは、昔の日本の生活様式に共通する部分があるとも言えそうだ。

「デンマークの人々は、とにかくファイアープレイスに集まるのが大好き。暖炉の周りに集まったり、たくさんのキャンドルを灯して、その中で大勢で食事を楽しみます。日本も昔はこたつや囲炉裏に自然と家族が集まって、そこで暖をとりながらコミュニケーションを図っていた。日本の伝統美である“こたつにみかん”こそ、最も日本的なヒュッゲと言えるでしょう」

 こたつにみかん、そして家族との団欒。決して「インスタ映え」しない風景である。しかし素朴な日常とその温かみこそが、私たちの人生、そして幸せに必要だということを、「ヒュッゲ」は教えてくれているのかもしれない。