視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。
労働時間の短縮だけでは働き方改革は成功しない
2017年9月、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は「働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~」の調査結果を発表した。それによると、2017年に働き方改革を実施した企業は全体の73%で、2015年の同調査における34%から大幅に増加している。
一方、リクルートワークス研究所が2017年10月に実施した「働き方改革に関する調査」では、自社が実施している働き方改革に対する従業員の満足度は、「不満」「やや不満」の合計が56.3%と過半数だった。
同調査では、会社が実施している働き方改革の中身についても聞いている。その上位は「有給休暇取得の促進」「定時退社する日や早帰りデーの設定」「残業時間に上限を設ける」といった、労働時間の短縮を目標とするもので占められた。
会社は労働時間を減らそうと改革を進めているが、まだまだ従業員が満足するほどの効果が出ていない実態が浮かび上がる。
さらに最近、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」という言葉もよく聞く。単に労働時間を減らすだけでなく、それによって増える仕事以外の時間をいかに充実させられるかを問う言葉だ。