製薬業界では年間売上高1000億円を超える薬は大型品に位置付けられ、「ブロックバスター」と呼ばれる。クレディ・スイス証券が算出したピーク時予想売上高はいずれも1000億円を超える。

 国内で先頭を切って治療対象のがん種をどんどん広げているオプジーボだが、万能なわけではない。効果があるのは対象がん患者の2割程度。8割には効かない。目下、どのような患者に効果があるのかをあらかじめ絞り込むための研究が進められている。

 重大な副作用も確認されており、死亡例も出た。小野薬品は「間質性肺疾患、重症筋無力症、筋炎、大腸炎、重度の下痢、1型糖尿病、肝機能障害、肝炎、甲状腺機能障害、神経障害、腎障害、副腎障害、脳炎、重度の皮膚障害、静脈血栓塞栓症、薬剤の注入に伴う反応」に対して、特に注意が必要としている。

夢のオプジーボが「命の値段」議論に火を付けた

「オプジーボ」は適応対象がどんどん広がるとともに目下、価格がどんどん下がっている。

 画期性がある故、薬剤費は高額。命の値段は幾らなのかという議論に火を付けた。

 14年に患者数の少ない悪性黒色腫で承認を受けたときは、100ミリグラムで薬価約73万円となった。100ミリグラムとは、例えば体重66キログラムの化学療法未治療の成人患者の場合、2週間に1回の点滴で必要な量の約半分にすぎない。

 15年に患者数の多い肺がんでも承認されると、「肺がん患者約5万人が1年使ったら総額1兆7500億円」(國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長)などと、高額であることがクローズアップされた。薬価改定は原則2年に1回だが、「緊急対応が必要」と厚生労働省が動き、異例の期中改定で17年2月から半分の約36万円になった。

 さらに18年4月からの薬価制度の抜本改革で「適応が広がって投薬量が増えた薬の価格を見直す」というルールが新設され、通常の薬価改定などと相まって約24%ダウンの約28万円となった。

 高額薬剤費の値下げは、もっぱら公的医療保険財政のためである。患者は1~3割負担の上、一定額以上は自己負担をせずに済む高額療養費制度を利用できる。極論を言えば国民皆保険の日本の患者にとって自己負担の上限を超える価格の薬は、そこからいくら高くなろうと安くなろうと自分の財布には影響ないのである。

 しかし、高額療養費制度で自己負担を超えた分をカバーする原資も結局は国民から集めたものだ。自己負担と公的負担のバランス、命の値段をどう考えるか。医療財政が逼迫するさなかにおいて、答えを出せずにいる。