今年の冬はとにかく寒いが、かねてより「氷河期」と呼ばれている就活戦線も、実際の気候に負けず劣らず寒いようだ。2011年12月1日現在の就職内定率(大卒)は71.9%と、昨年同期より3.1ポイント回復しているものの、過去最低水準を続けていることに変わりはない。日本の就活は、もはや学生と企業の努力だけではどうにもならない制度疲労を起こしている。そんななか、こうした行き詰まり感を何とか解消しようと、教育機関や企業が新たな試みを行なうケースも出始めた。東大の「秋入学」議論や岩波書店の「コネ採用」などがそれに当たる。賛否が分かれるこれらの試みは、果たして猛寒波の就活戦線に差し込む一筋の“光”となるだろうか。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)
寒い、とにかく寒い――。
猛寒波が続く就職戦線で学生たちは
今年の冬はとにかく寒い。日本列島を包み込む猛寒波は、各地に記録的な積雪をもたらしている。かねてより「氷河期」と呼ばれている就活戦線も、実際の気候に負けず劣らず寒いようだ。
就職活動戦線が本格化し、街でリクルートスーツを身にまとう学生の姿を見る機会も多くなった。しかし、一時期よりは回復傾向にあるものの、就職内定率はいまだに低調だ。2011年12月1日現在の就職内定率(大卒)は、71.9%。文部科学省と厚生労働省が調査を開始した1996年以来、最低水準を記録した昨年よりも3.1ポイント上昇したが、昨年に次ぐ低水準であることに変わりはない。
就職活動をする学生からは、不安や不満の声が出ている。昨年11月23日の勤労感謝の日には、新宿で「就活ぶっこわせデモ」が開催される事態にまで至り、ゼミや卒論を疎かにしてまで就職活動をしなければいけない実態に疑問の声が上がった。
事態を憂慮した経団連は、倫理憲章を改訂して2013年度から広報開始時期を従来より2ヵ月遅らせ、12月1日から行なうことを決定。面接などの採用選考は4月1日以降から開始することを明記し、就活の激化を防ぐ方針を打ち立てた。しかし、学生たちの不安は収まらず、早期からインターンシップやOB訪問、就活セミナーなどに参加するケースは後を絶たない。
いつ終わるともわからない猛寒波の就職戦線で、悪戦苦闘している学生たち。就活市場に「光」は見えるのか。現状を探ってみよう。