「ポジティブな職場づくり」ということがよく言われる。だが、「ポジティブ、ポジティブ」と言いすぎる近頃の風潮はいかがなものか。
世界に誇る日本人の仕事の丁寧さ、質の高さには定評があるが、それにはポジティブになりきれない心理傾向が強く関係しているのではないか。
このところ、「ポジティブの弊害」とも言うべき現象があちこちの職場で見られるようだ。
なぜか同じような
失敗を繰り返す部下
「いくら注意しても同じような失敗を繰り返す人間っていうのは、どうにも直らないもんですね、どうなんでしょうか?」
倉庫業の中堅会社で営業課長を務めるAさんは気になる部下に関し、呆れた調子でこう口にする。
「どういうことか」と私が尋ねると、A課長は同じような失敗を繰り返す部下B君に手を焼いているという。
B君は、性格的には決していい加減な感じではないし、能力が低いわけでもない。いつもまじめに仕事をしているし、周囲とも協調しながら上手くやっている。だが、なぜかうっかりミスが多い。営業先で準備不足が出てしまい、失態をさらすことも少なくない。
A課長が注意すると、
「すみません、これから気をつけます」
とB君は素直に反省するものの、また似たような失敗を繰り返している。そんなB君に関して、A課長は指導時の状況を打ち明ける。