そうした教師の負担を軽減するために外部指導員を導入する動きも出てきている。その競技で実績を積んだ人を指導員として呼び、部活を見てもらうのだ。だが、経験を買われて呼ばれるため、どうしても勝利至上主義になり練習が長く厳しくなる傾向がある。すると今度は生徒に負担がかかるわけだ。また、思うような成果が出なかった場合、顧問である教師との軋轢も生じがちになる。外部指導員の手当は1時間1000円程度といわれる。専門の競技の指導ができるという喜びはあるにせよ、コンビニのアルバイト並みの報酬でそんな責任を負うのは割に合わないと思うはずだ。

選手育成にも功罪
「縦割り」の弊害も

 指導という点から見ると、部活による選手育成は縦割りの系列が生まれる傾向もある。中学の指導者が部活で秀でた才能を見つけると、親しい指導者がいる高校→大学へ行かせたがるのだ。一貫した指導ができる利点もあるが、独善的になり選手の意志を尊重しないわけだ。選手が別のルートに進んだ場合、反抗したということでつぶしにかかることもあるのだ。至学館大学女子レスリングのパワハラ問題もこうした部活体質が生んだ弊害ともいえる。

 日本が選手育成を部活に頼らざるを得なかったのは、地域のスポーツクラブがほとんどなかったからだが、最近は部活経由ではなくクラブから育つトップアスリートも多くなってきた。五輪のメダル有力競技である競泳がそうだし、フィギュアスケート、卓球、体操なども部活の枠から離れたところで育っている。サッカーもJリーグクラブのアカデミー、野球も中学まではリトルリーグ、シニアリーグで育った選手が多くなった。まだまだ充実しているとはいえないが、日本もクラブが育成を担うようになりつつあるのだ。

 スポーツ庁が示した部活のガイドラインは法的強制力はなく、ブラック部活はすぐには解消できないだろう。また、部活にも良い面はたくさんあるし、長年選手育成を担ってきた部活を全否定することはできない。

 ただ、旧来の部活のあり方が問われる時期にあることは確かだ。

(スポーツライター 相沢光一)