春闘賃上げが市場予想より若干高い2%半ばになる理由写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

労組は5年連続のベアを要求
賃上げは2%台半ばまで

 皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。今回は番外編として、3月14日に集中回答日を迎えた今年の春闘について取り上げます。

 早速、現時点での回答結果を見てみましょう。

 3月14日の回答は、製造業が中心で、ベアの回答は1500円が多く、前年の1000円を500円上回りました。その後に発表された運輸、サービス、小売りや外食などの非製造業では、製造業よりも高めの回答が多くなっています。

 製造業の1500円程度のベアは、賃上げ率で見ると約0.5%程度となります。製造業よりも賃上げ率が高い非製造業や、人手不足感が高い中小企業を加えると、ベアは0.7~0.8%程度となりそうです。定期昇給分を加えると、今年の春闘の賃上げ率は2%台半ばかどうかというところになるでしょう。

 ちなみに、連合が16日に発表した春闘の第一回回答集計結果によると、ベアは0.77%、賃上げ率は2.44%でした(ベアと定期昇給を明確に区別している組合の集計)。

 金融市場での事前予想は、アベノミクス以降の賃上げ率の平均的な水準である2%程度から、2%台半ば程度との声が多かったので、市場予想よりも若干高めの結果となりそうです。

 それでは業界ごとに、3月19日時点での回答状況を詳しく見てみましょう。

 まず、製造業のうち、電機大手、造船大手は前年を500円上回る1500円となりました。自動車大手は、トヨタ自動車は 1300円超(賃金改善分)、ホンダは1700円、日産自動車は満額回答で3000円となりました。いずれも前年を上回っています。

 非製造業では、運輸、サービス、小売りや外食などで、製造業よりも高めの回答が多くなっており、日本航空は3000円、イトーヨーカ堂は2000円などとなっています。

 また、中小企業では大企業よりも人手不足感が強いとの事情があるため、ベアは高めに出ると見られます。ちなみに、財務省と内閣府が発表した、今年の1~3月の法人企業景気予測調査によると、中小企業の利益の配分先として「従業員に還元」が「内部留保」を抜いて最も高い数値となりました。