なぜ日米金利差が拡大しているのに円高になるのか

 アメリカの金利が上昇している。他方で日本の金利は上昇しない。このため、金利差が拡大しており、常識的に言えば、円安になってしかるべきだ。

 ところが、実際には円高が進行している。

 日本経済は為替レートの変動によって大きな影響を受けるので、円高になるか円安になるかは、今後の日本経済にとって極めて重要だ。したがって、なぜ円安にならないのかのメカニズムを理解する必要がある。

円高期待があると、
円キャリー取引が生じない

 アメリカの10年国債利回りは、2016年には2%を下回る場合が多かった。16年7月には1.5%割り込んだ。

 ところが16年11月頃から急上昇し、11月には2%を超えた。17年を通じて、2%を超える水準にあった。18年になって急上昇し、最近では3%に近づいている(図表1)。

 他方で、日本の10年国債利回りは、ほぼ0%で変わらない。

 このように金利差が拡大しているので、本来であれば、アメリカの高い金利を求めて資金が日本から流出し、円安になるはずだ。