金融緩和は今や成長阻害要因、日銀新体制は「早期脱却」に踏み出すべきだ

 日本銀行の黒田東彦総裁の再任と副総裁人事を含む新体制を政府が提示した。この人事は、金融緩和からの「出口」を封印しようとする政府のメッセージと受け取られている。

 しかし、いまの情勢で本当に必要なのは、為替レートの変動に翻弄されない強い日本経済を作るために、これまでの緩和政策を終了し、金融正常化への困難な作業を始めることだ。

企業の売上高は、
金融緩和前からほとんど増えず

 日銀の新体制は、発足前にすでに困難な問題を突きつけられている。

 金融緩和を続けているにもかかわらず、円高が進行しているからだ。

 これによって、前回コラム「世界株安は『トランプ期待』が止めていた正常トレンドへの復帰だ」で書いたように、企業収益が悪化する。また物価上昇率が低下する。

 重要なのは、この傾向を逆転しようと緩和を強化しないことだ。